溺愛〜ラビリンス〜
「柚?…言って良い。どんな言葉も受け留めるって言ったろ?」


柚が俯いた顔を上げて視線があった。


「ゆうくん…ごめんなさい。私……ゆうくんの気持ち嬉しかったけど、応えられない。」


「……」


とうとう柚に引導を渡された。


「…ごめんなさい。」


「ハァ……柚、それが柚の結論なんだな?」


「…うん。」


「……翔真を選ぶって事なんだな?」


「……うん。」


柚が躊躇いがちに返事をした。俺は堪らず柚を抱きしめた。


「……少しの間このままでいさせてくれ……」


今の俺の顔を柚に見せられない。俺の頬には涙が伝っていた。


「ゆうくん……」


柚が不安そうに俺の名前を呼び、ギュッと抱きしめ返してきた。


「柚…」


俺も腕の力も強くなる。


「……ゆうくん…ごめんなさい。何回も助けてもらって、いっぱい優しくしてもらったのに……」


「……」


「私は酷いって思う……ごめんね……許して……」


「柚……」





< 512 / 671 >

この作品をシェア

pagetop