溺愛〜ラビリンス〜
「頼む!柚…俺にお前の事を諦めさせてくれ……」
何が何でもこの気持ちを昇華させたい……ギュッと強く柚を抱きしめた。
「……ゆうくん…が…それ…で気持ちに整理がつくのなら…」
震える声で承諾してくれる柚に俺はもうこのわがままが叶うなら死んでも構わないと思った。
「ッツ…柚……。」
俺はそっと柚にキスをした。
「ううん…」
柚の瞳にはまだ戸惑いが見える。不安そうな表情の柚の手を引いて歩き出した。
駐車場に戻り、車に乗ると龍也も森もすぐに俺達がおかしい事に気づいたようだった。
「……あの…若……どこに向かえば……」
戸惑いながら聞いてくる森に一言だけ発した。
「………パークホテルに着けてくれ……」
俺の言葉に二人が息を飲んだのが分かった。社内の空気がはりつめる。
「……アッ、はい…分かりました!」
それでも、森は返事をして車を出した。
ホテルへの道は空いていてスムーズに進んだ。