溺愛〜ラビリンス〜
散々柚の体を貪り、思いの丈をぶつけ俺は柚への想いを遂げた。
まだ夜が明けきらない時間、腕の中で眠る柚の存在を確認すると、起こさないように少しだけ力を込めて抱きしめた。柚は疲れているんだろう、スヤスヤと寝ていて起きる気配がない。柚の額にキスをして、目を閉じもう少し寝ようとしていた時、携帯が鳴った。
柚を起こさないように舌打ちをすると、すぐに携帯を通話にする。
「何だ?」
低い声で不機嫌に携帯に出ると、龍也が俺の苛々した様子を気にする事なく話し出す。
『悠斗…落ち着いて聞いてくれ。』
話し出した龍也の様子がいつになくおかしかった。冷静沈着な龍也にない事に何かあった事を察し、苛々を押さえ龍也に問いただす。
「どうした?」
『…キングが事故に遭って意識不明だ。』
龍也の言った言葉の意味がすぐに理解できなかった。数秒の間の後、やっと言われた言葉の意味を理解した次の瞬間冷や汗が出てくる。
「……どういう事だ?」
『…昨日…ブラックホークスの幹部達がツーリングをして、帰り道キングが事故に遭ったらしい。』