溺愛〜ラビリンス〜
「どういう事だ?何で…何ですぐ連絡しなかった?」
俺は逆上するように怒鳴った。電話に出る為に柚のいる寝室から離れて正解だった。
『悠斗…それで良かったのか?俺も大輝も迷ったが、悠斗と柚ちゃんにとって最後の時間だと思うとどうしても知らせる事はできなかった……悠斗の…今までの想いを知っているからできなかったんだよ!』
悲鳴に似た悲痛さを感じる龍也の言葉に、龍也達が俺の事を思ってした事は痛い程分かった。
「…龍也……」
何も言えなくなってしまった俺に、龍也は全て分かっているように話しを続けた。
『柚ちゃんの事を探して散々ブラックホークスの奴等から連絡があった。キングが運ばれた病院に家族やブラックホークスの幹部がつめているそうだ。柚ちゃんを早くキングの所にって電話の嵐だった。』
「…そうか。兎に角、柚を起こして翔真の病院に向かう。」
『…迎えに車を回す。』
「あぁ…頼む。」
電話を切ると、ソファーに凭れ掛かりため息を吐く。
「…ハァ……」