溺愛〜ラビリンス〜

「何の用じゃねぇだろ!うちの姫は何処に居るんだよ?さっさと居場所を教えろよ!」


島谷とは真逆に頭に血が昇った爽がボルテージを上げて掴みかかりそうな勢いで怒鳴った。


「…柚ちゃんなら、悠斗と一緒にいる。無事だから心配しなくて良い。」


「あぁ?何が心配しなくて良いだぁ?心配するに決まってんだろうが!約束が違うだろ?とっとと姫を返せ!」


「…それはできない。」


「あぁ?!何言って…」


ボルテージが更に上がって行く爽を押し留め、俺が割って入り話し出す。

「島谷、それがお前等のやり方か?随分坂本の組ってのは汚ねぇやり方すんだな?」


島谷を睨みつけながら言うと、組の事を持ち出されたからか、島谷がピクリと反応して怒りの眼差しを向けた。


「何だと?」


島谷の低く怒りの籠った声に、してやったりとほくそ笑みながら、俺は怯む事なく続けた。


「約束を破っても平気な面して堂々と姫を返さないと言う。翔真も三浦のおばさんも信用して黒王子に姫を預けたんだ。それなのにそんな信頼を裏切って、そのやり方の全てが汚ねぇだろうが?」




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