溺愛〜ラビリンス〜

島谷の覚悟を決めた様子に、俺と爽は視線を合わせ頷いた。


「あぁ…それでいい。じゃ頼んだぞ?」


島谷にそう言って、俺達はマンションを後にした。




島谷の連絡を待つ事にした俺達は、何もする事がなく取り合えず病院に戻る事にした。






病院の中に入ると、渉が一階のロビーにいた。電話をしていたらしい渉は通話を終えた所だった。こちらに視線を向けた渉と目が合うと、疲れが滲んだ笑みを浮かべた。


「お疲れ。」


「「お疲れ。」」


挨拶を交わし俺達は渉に近づいて行く。


「どうだった?」


「島谷を掴まえて説得した。黒王子に連絡つけてくれているから、島谷からの報告待ちだ。」


「…そうか。」


渉の明らかにがっかりした様子に翔真の容態が気になって不安になった。爽も同じだったんだろう…口を開いた。


「渉…翔真の容態は?」


「あぁ…思ったより手術に時間がかかっているんだ。まだ手術中だ…」


「そうか…」


「当初の予想より悪いのかもしれないな…」


渉は小さく呟いた。





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