溺愛〜ラビリンス〜
翔真の事でいっぱいいっぱいのおばさん達に、これ以上の心配をかけたくないから、会話を聞かれないように小さい声で話しかけてきた。


「どうなんだ?」


俺達と電話をかけた渉の結果どちらも気にしての言葉だ。


渉が無言で首を横に振る。俺達も首を横に振って凌に答える。

凌は俺達の答えを予想していたのか無表情で見ると、感情のない口調で


「そうか…」


と言った。


重たい空気になったが、近くにはおばさん達もいる。俺達がこんな暗い顔していたら、余計な心配をさせる。
みんなそう思ったんだろう、すぐに空気を変えるように会話を始めた。


「すっかり真夜中だな…」


「あぁ…そろそろ手術も終わるだろう。」


「そうだな…」


会話をしながらおばさん達の元へ向かった。


「おばさんどうですか?」


渉が声をかけるとおばさんが顔を上げ、俺達を見る。


「渉くん…みんなもこんな遅くまでごめんなさいね…」


「いいえ…」





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