溺愛〜ラビリンス〜
「まぁ…でも翔真くんは若いから体力もある。意識さえ戻れば回復は早いでしょう。ただし…意識が戻らない場合…最悪な事も覚悟して下さい。」


「分かりました。先生、ありがとうございました。」


おじさんが、泣いているおばさんに代わり先生に返事をする。


執刀医がその場を立ち去り、重苦しい空気が立ち込めた。それを破るように手術室の扉が開きみんなの視線がそちらに向く。
手術室から翔真がストレッチゃーに乗せられて出てきた。


「翔真!」


おばさんが駆け寄り、それに俺達も続く。


「翔真…」


泣きながら翔真を呼ぶおばさんの声に翔真は反応しない。顔は青白く死人のような顔色だ。


「翔真…」


隣にいる渉が小さく呟いた。渉も翔真の顔色にショックを隠し切れないようだ。


「すみません。患者さんを病室に運びたいので、通路をあけて下さい。」


ストレッチャーに付き添う看護師が俺達に声をかける。いつまでもこんな所に患者を置いておけないんだろう。





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