溺愛〜ラビリンス〜
「すみません。」
みんな気が動転してそんな事にも気が回らなかったんだ…
看護師の指示に従い廊下の隅に寄ると、ストレッチャーが動き出す。みんなその後をついて行く。
廊下を曲がり見えてきたドアの方へ向かう。
自動ドアが開き翔真は中へ入って行く。
看護師がすぐに出てきておばさん達に説明を始める。
「今日はICUで様子を見ます。翔真くんの意識が戻って、医師から許可が出たら一般の病室に移りますのでそれまではこちらになります。」
「はい…お願いします。」
おじさんとおばさんは看護師に頭を下げた。
「明日中に入って面会する事も可能ですから、今日の所は我慢して下さいね。」
「分かりました。」
手術が終わり、既に日付が変わっていた。こんな時間じゃ面会できないのは仕方ない。
「親御さんもお疲れでしょう?完全看護ですから一旦ご自宅に戻って休まれてはいかがですか?」
看護師の言葉に迷っている様子の二人。
「翔真の状態は、安心していて良いんでしょうか?帰ってしまってから急変したりは…」
おじさんが不安な思いを質問する。