溺愛〜ラビリンス〜
「…先生からもお話があったと思いますが、かなりの出血をしていますので予断を許さない状態です。ですが…翔真くんが意識を戻すまで御家族にとってたいへんな時間が続きます。長期戦になる事も想定して、体を休めた方が良いですよ。」
「…分かりました。でも、心配なので私は残ります。あなた帰って休んで?明日翔と私の着替えや必要な物を持ってきて。」
おばさんは翔真の傍から離れたくないようだ。おじさんはそんなおばさんに何も言わず頷いた。
「分かった。看護師さん、すみませんが妻はこちらで翔真の傍に居させて下さい。明日私と交代しますので…それまでお願いします。」
おじさんが頭を下げると、看護師さんも諦めたのか渋々了承した。
「渉くん達もこんな時間までありがとう。もう帰って休んで?翔真には私がついているから大丈夫だから。」
おばさんの言葉に押され俺達も病院を後にする事にした。
「じゃあ、おばさんお願いします。俺達も明日また来ます。」
「ええ…ありがとう。」