溺愛〜ラビリンス〜
「…そうだな。ハァ…何でこんな事に…」
こんな状況になってしまった事を呪いたい気持ちになりながらため息を吐く。
「…島谷…」
鈴原が呟くように俺の名を呼んだ。俺は鈴原に向き直った。
「分かった。悠斗に連絡をとってみる。」
悠斗に電話をかけるが出る気配がなかった。悠斗にとっては夢のような柚ちゃんとの二人の時間だ。誰にも邪魔されたくないだろうから、もし電話に気がついても出ないのかもしれない。
「駄目だ。」
通話を切りブラックホークスの奴等に告げる。そして少し時間をもらい悠斗に連絡をつけ、できるだけ早く柚ちゃんを病院に連れて行く事を約束した。
ブラックホークスの奴等と別れ、部屋に戻ると、ソファーに座り、背凭れに凭れ掛かって天井を仰ぎ見た。
悠斗の奴ついてないな… 天国から地獄に突き落とされるようなもんだ。
悠斗にこの状況を説明しなきゃならない事がとても気が重かった。
落ち着かない気持ちで時間は流れて行く。俺はソファーから動けずにいた。部屋に戻ってから30分以上経っていた。
「ハァ…そろそろかけてみるか…」