溺愛〜ラビリンス〜
そんな悠斗に現実的な話しをして、キングが運ばれた病院に家族やブラックホークスの幹部がつめている事、柚ちゃんを早くキングの所に連れて行かなければならない事を伝えた。
『…そうか。兎に角、柚を起こして翔真の病院に向かう。』
悠斗は冷静に返事をしてきた。俺は迎えの車を回す事を告げ電話を切った。
「ハァ…」
額に手を当て俯く。一番キツイ悠斗に現実を知らせる事を終えた。肩の荷が下りた気がしたが、実際にはこれからの方が大変なんだよな…
俺は頬をパチンと叩くと、気合いを入れて立ちあがった。
数時間前に悠斗と柚ちゃんを降ろしたホテルへと向かった。あの後、すぐ森に連絡をしてマンションまで来てもらい、車で20分位の道を静かに進んだ。森も何も聞かないが、何か悪い事があったんだろうと思っているのだろう。車内は張り詰めた雰囲気でいっぱいになっている。
「龍也さんもうすぐ着きます。」
「あぁ…」
森に返事をして携帯をかける。
『…はい。』
「悠斗もう着く。」
『分かった。』
それだけ言うと悠斗は通話を終える。