溺愛〜ラビリンス〜
「柚…大丈夫だ。翔真がお前を残して逝く訳ねぇだろ?それに仮にもブラックホークスの総長を張ってる男だぞ?体だって鍛えている。頑丈なアイツの事だ大した事ねぇよ。」
柚ちゃんを気使って、悠斗は何時なく饒舌に励ましの言葉を並べている。正直行ってみないとキングがどんな状態なのか、まるで分からない。もしも…最悪の状態だった場合、悠斗は…どうするんだろう?
俺も悠斗の側近として、どうすれば良いんだ?
着く前から嫌な事ばかり頭に過ってしまい、俺も冷静ではいられない。
「…ゆうくん…ありがとう。翔兄ぃは強いもんね…絶対大丈夫だよね?」
柚ちゃんは自分に言い聞かせるように、悠斗の言葉を納得するようにして聞き返す。
「…あぁ、大丈夫だ。」
悠斗は柚ちゃんの頭を撫でながらそう言った。そんな空気を裂くようにして携帯の高音の音が鳴り響いた。
鳴っているのは俺の携帯だった。俺は舌打ちをして携帯を取り出す。
ディスプレイを見ると相手は鈴原だった。俺はそのまま通話ボタンを押した。
「はい…」
俺が出ると、鈴原は捲し立てるように話しかけてくる。
『鈴原だ。黒王子に連絡はついたのか?』