溺愛〜ラビリンス〜

怯む事なく悠斗は冷静な様子で


「翔真はどうなんだ?命に別状はないんだよな?」


と聞いた。その声色にはキングへの心配している事が滲んでいた。


「お前に聞く権利はない!翔真が居なくなれば良いとでも思ってんだろ?さっさと帰れよ。」


黒田が睨みながら悠斗に怒鳴る。


「爽止めろ!」


鈴原が制止したが、けっして悠斗に対して良い感情を持っている訳ではなかった。


「爽だけじゃない…みんなお前の事は許せないんだよ。翔真の気持ちを考えたら当然だろ?」


重い沈黙が流れる中、秋津が口を開く。


「さっき渉が言っていたように手術後意識が戻らない状態で予断を許さない状況だ。翔真や、翔真の家族の事を思うなら、お前達がここにいるのは余計な心労を与えるだけだ。帰ってもらいたい。」


秋津が反論を許さないといった口調で言った言葉に、悠斗は俯いた。


「…分かった。その代わり翔真の意識が戻ったら、必ず連絡してくれ。」


「…あぁ、約束する。」


「お前達にも迷惑かけて悪かった。柚がお前達にとって…大切な存在なのは分かっている。こんな状況の時に…柚を帰さなくて悪い事をしたと思っている。…もう俺が柚とこうして二人で会う事はないから、安心して良い。本当に悪かったな?」





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