溺愛〜ラビリンス〜
「翔真、マジになるなよ。柚ちゃんごめんね。」
俺が謝れば柚ちゃんも気を使う。
「翔兄ぃ、下の子達が怖がってるよ。イチャイチャなんてしてしてないのにみんな勘違いしただけなんだからもういいよ。」
いつものズレた思考で発言してスッキリした表情をして、多分今の状況を完璧に察したつもりでいる。
柚ちゃんの言葉を聞き、当然俺達は
「「「「えっ!?」」」」
と声を上げる。
みんなの驚きの声に柚ちゃんは首を傾げて困っている。
「柚、みんな勘違いしたなんて思ってない。」
「えっ!?」
柚ちゃんが驚いて、俺達を見る。翔真が今言った言葉が嘘でないと悟ってそれでも理解が出来ない様に首を傾げた。
「柚、大丈夫だ。」
翔真は微笑みながら柚ちゃんをいとおしそうに見つめた。
本当に幸せそうな二人を見ていると微笑ましくって応援したくなる…
柚ちゃんは小さい時から可愛い過ぎるんだ。翔真が溺愛するのも仕方がないよな…
それは悠斗も白王子も同じなんだろう。
柚ちゃんを中心にこれから大きな嵐が起こる予感がした。翔真もそれは分かっているんだろう。
台風の目中、争いのど真ん中に居なくちゃならない柚ちゃんを俺達が守らなければと心の中で誓った。