溺愛〜ラビリンス〜
三浦 柚姫 side
「何かあったらすぐ連絡して。」
渉くんがそう言って帰って行き、私とお母さんだけになった。
「柚…あっちにベンチあるから座りましょう。」
お母さんが翔兄ぃがいるICUの近くにあるベンチを差しながら声をかけてきた。
「…うん。」
ベンチに座るとガラス越しに翔兄ぃを見る事ができないから、もう一度翔兄ぃの様子を見てから、お母さんの後に着いて行った。
ベンチに二人で座ると、お母さんが話し出した。
「…柚…翔真は意識が戻らない場合もあるかもしれない。戻ったとしても今までのような生活ができるかだって目が覚めてみないと分からないわ…柚が悠斗くんを男性として選らんでも、私は翔真の母親として仕方ないと思うわ。そしてね…あなたの母親としては…柚に幸せになってもらいたいって思っているから、無理して翔真を選らばなくて良いと思ってる。」
「お母さん!」
想像もしていなかったお母さんの言葉に、思わず叫んでしまった。