溺愛〜ラビリンス〜
「フフッ…お母さん、翔兄ぃが目を覚ますように頑張って看病しようね!絶対元気になってもらうんだから!私達が、翔兄ぃが元気になる事を信じなきゃ駄目でしょ!ね?」
お母さんを励ましたかったのと自分に言い聞かせる為に、私はできるだけ明るく言った。
「そうね…柚、頑張ろうね。だいたい、翔真の事をそんな柔に育てた覚えないんだから…丈夫な体とでへこたれない精神力を備えさせたはずなんだから、これ位の事でどうこうなるなんてあり得ないわ…」
お母さんも笑顔で答えてくれた。
それにしても…お母さん、翔兄ぃの事をどんな風に育てたのよ?
お母さんの台詞に疑問を感じたけど、聞くのが怖い気もして受け流す事にした。
それからお母さんとこれからの翔兄ぃの看病について、二人でうまく割り振って翔兄ぃに付き添うよう話し合った。
元々完全看護の病院なので、基本的に24時間付き添う事はできないだろうけど、できる限り付き添う事でお母さんと話しが決まった。
私は学校があるので、翔兄ぃがある程度安定したら、登校する事に決めた。それまではできるだけ傍にいて、翔兄ぃを見ていたいという私の気持ちをお母さんも納得してくれた。