溺愛〜ラビリンス〜
「三浦さん…大丈夫ですか?」
ICUの病室から看護師さんが顔を出して声をかけてくる。
「はい…翔真の様子はどうでしょう?」
「今の所変化はないです。目を覚ます気配も、今の所ないみたいですね…」
「…そうですか。」
お母さんが返事をすると、看護師さんは私に視線を向けた。
「あら翔真くんの彼女かしら?心配で来たの?」
看護師さんは、私を翔兄ぃの彼女と思ったらしい…
「えっと…」
何て答えて良いのか困っていると、お母さんが返事をする。
「フフッ…そうなの。翔真が溺愛している彼女なのよ。」
お母さんの返事に思わず顔がひきつってしまう。そりゃ、私は翔兄ぃを選らんだけど…まだ翔兄ぃに私の気持ちをちゃんと言ってないし…付き合ってもいないのに、勝手に知らないうちに彼女面して、目を覚ました翔兄ぃに怒られたらどうしよう…
「まあ…若いって良いわね。でもこんな可愛い彼女が看病してくれるなら、翔真くんもきっと目を覚ますわね!翔真くんの事を信じて頑張りましょう。」
私の思いも知らず、看護師さんの中ではすっかり彼女になってしまった。