溺愛〜ラビリンス〜

「…うん…」


賑やかな人の声や物音が耳に入ってきて、重い瞼を開いてみると眩しい日差しが差し込んできて目を開ける事ができない。

「うーん…」


寝返りをうち眩しさに背を向けると、お母さんの声が聞こえてきた。


「こっちは私と柚で見てるから心配しないで。何かあったらすぐに連絡するから、連絡がつくようにしておいてね?」


「あぁ…分かった。柚は大丈夫なのか?」


「えぇ…翔真がこの状態じゃ、うちに帰って学校に行けって言ったって言う事なんて聞かないだろうし、言う事聞かせても学校に行っても、授業なんて頭に入らないわよ。逆にボーッとしていて怪我でもしそうで怖いわよ…」


「確かにそうだな…」


お母さんの言葉にため息を吐きながら納得しているお父さんの声も聞こえてきて、頭が急に冴えてくる。そうだ…此処は翔兄ぃが入院している病院だった!


「お母さん!翔兄ぃは?」


「キャァ!柚…いきなりびっくりさせないで…」


お母さんは私の勢いにたまげてしまったみたいで悲鳴をあげた。





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