溺愛〜ラビリンス〜
「柚…お早う。元気だな?翔真は変わりない。大丈夫だよ。」
お母さんの代わりにお父さんが答えてくれる。お父さんの顔を見て、昨夜帰らなくて心配かけた事を思い出した。
「…お父さん…お早う。あの…昨日はごめんなさい。」
「…柚、お父さんは柚が決める事は基本的に応援するつもりでいるんだ。でも柚が幸せになってくれなきゃ応援はできない。その事は覚えておいてくれ。」
私が俯いて謝ると、お父さんはそう言ってくれた。私が顔を上げると、お父さんの優しい眼差しで私を見つめる視線と合った。感謝の気持ちを言いたいけど、今言葉を出したら泣きそうで何も言えない。
「うん…ありがとう。」
それだけ言うのがやっとだった。
お父さんは私が小さい時から優しくて、とても可愛がってくれて私は怒られた事がない。基本的には優しい人だけど、翔兄ぃは怒られている事が何回もあったから、怒る事はある。昔、翔兄ぃに何で私は怒られないのか不思議で聞いた事があった。翔兄ぃは笑いながら、
「俺は男だから怒られる事があるんだよ。柚は女の子だから父さんは怒ったりしないよ。」
と言っていた。