溺愛〜ラビリンス〜
「本当!?」
翔兄ぃの傍に行ける。昨夜は硝子越しに姿を見たきりだから、間近で翔兄ぃの顔を見れる事にテンションが上がって大きな声を上げてしまった。
「クスッ…えぇ…さっき看護師さんが短い時間なら面会しても良いって言ってくれたの。もう少しで面会時間だから、それまでに準備しちゃいましょう。」
「準備?」
「朝ごはん食べちゃいましょう。ちょうど食べ終わった頃、面会時間になるから。」
「うん…」
お母さんにはそう返事をしたけど、正直あまり食欲がない。そんな風に思っている私の気持ちをお見通しなのか、お母さんは私の手を引きレストランへと向かう。
「柚…私達が倒れる訳に行かないのよ?翔真が目を覚ますまで、倒れないように自己管理してちょうだい。」
「お母さん…」
確かにその通りだ。私達はこれから頑張らないといけないんだから、しっかりとご飯を食べて頑張らないと!
「うん!お母さん、ご飯食べよう!」
私は気を取り直し、張り切って病院内のレストランへと向かった。
レストランはそんなに混んでいなくて、スムーズに席に着く事ができた。