溺愛〜ラビリンス〜
「大輝今日の予定は?」
仕方なく話題を変えた。
「あぁ…今日は西の方の店だな。三軒の集金を予定してる。」
「分かった。」
基本俺達は行動を共にする。俺が若頭としての仕事をする時、こいつは側近として従う。
学校が同じなのもこいつにとっては、側近としての役目の一つだ。
午後の授業が終わり、俺達はそのまま学校を後にする。
下駄箱の所まで行くと龍也が既に待っていた。
島谷龍也(しまたにりゅうや)、大輝と同じく俺の側近。
龍也の親父は坂本組の幹部で幼い頃から俺の側近として育てられた。
当然親達にガキの頃に引き会わされ、それ以来の付き合いだ。
「悠斗、柚姫ちゃんの事どうなった?あのキングじゃ一筋縄じゃ行かないか?」
お前も知ってたのかよ… 龍也はクラスが別で隣のB組。
どこで見てんのか俺の事はなんでも知っている。全く本当に忠実に側近の役目を果たしてやがる。
大輝もうぜぇと思うが龍也も別の意味でうぜぇ。頼りになる奴ではあるんだが…
校門を出ると組の車が待っていた。俺と龍也は後部座席に、大輝は助手席に乗り込んだ。