溺愛〜ラビリンス〜

「…それにブラックホークスの奴等にも、もう二人で会わないって宣言したしな?」


俺がそう言うと上森はキッと俺を睨みつけた。


「馬鹿じゃないの!何でそんな事言ったのよ!柚無しじゃあんたの人生何も残んないじゃない…何でそんな簡単に諦めちゃうのよ?好きなんでしょ…柚の事?」


上森の口調は怒っているが、表情は泣きそうだった。何だか、俺の代わりに怒ったり泣いたりしてくれているような上森を見ていたら、素直に自分の気持ちを吐き出せる気がした。


「…好きだ。簡単に忘れられる程、想っていた期間も短くもなければ、軽い気持ちでもないからな…でも…仕方ないだろ?柚が翔真を選んだんだ。俺は選らんでもらえなかったんだ。柚の結論を尊重してやるのが、俺が最後に柚にしてやれる事だからな…でも…心の中で想い続けるのは自由だ。俺の中から柚が消える日なんてないだろうな…」


「柚もあんたも不器用で馬鹿だね。もっと楽に、器用に生きれば良いのに…ハア…でもそれが、柚やあんたの良い所なんだけどね?柚の様子がおかしかった理由も分かった。あんたに頼まれなくても、私と有希は柚の味方だし支えるわよ。だから心配しないで良い。」





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