溺愛〜ラビリンス〜
上森は俺の気持ちを全て理解しているかのように、俺が欲していた言葉を投げてくれた。
「…こんな事を頼んですまないと思っている。でも今、柚の事を頼めるのはお前等だけなんだ。頼む。」
俺はもう一度上森に頭を下げた。
頭を上げた俺の視界に映ったのは、上森の優しい笑顔だった。
「…私達は柚の親友なんだから、あんたに頼まれなくても当然柚を助けるだから…安心しなさい。それより!あんたも男なんだから柚の結論に従うなら、いつまでもクヨクヨしてないで、早く立ち直りなさいよ?今のままじゃ坂本らしくないよ。」
男気溢れる上森の言葉に俺は思わず吹き出してしまう。
「フッ!…上森…お前うちの若い奴等よりよっぽど男らしいな?女にしとくのもったいねぇよ!」
俺の言葉に上森は俺を睨みつけ怒っている。
「ちょっと、坂本!誰が男らしいのよ!失礼ね。あんたって本当、女を見る目ないわ…ううん、柚を好きになったんだから、見る目あるのか?私が男でも、絶対柚を好きになったと思うものね…でも今の失礼な発言は許せないわね?」
「悪かった。上森は本当に女にしとくのもったいない程良い奴だよ。柚の事頼んだ。」
上森に俺は素直に謝った。