溺愛〜ラビリンス〜
「ババァだ。」
眉間にシワを寄せ、一言呟き携帯に出る。
『遅い!』
出るといきなり怒鳴るお袋。
「チッ」
いきなりの反撃に舌打ちする。
『お母様に舌打ちするとはいい根性してるわね。あんたまさかババァなんて言ってから出たんじゃないでしょうね?』
どこかで見てんのかよ…少しビビる。
「……そんな事ねぇ。」
『何その間は?』
と突っ込むお袋にこれ以上突っ込まれる前に話しを変えた。
「何か用か?」
『用がなきゃかけちゃいけないの?…まぁいいわ。あんた今度の日曜何の日か分かってるわね?』
俺の女の様なセリフ言ってんじゃねぇよ母親の癖に。突っ込みを入れながら、お袋の言葉に今度の日曜?何だ?さっぱり分からず黙りこむ。
『ハァ』
とため息をついたお袋は
『私のバースデーパーティーの日でしょう!』
と呆れた様に言う。
心の中で舌打ちする。そんな事で電話してきたのか…そんな俺の思考を読み取り
『あんた、お母様の誕生日に来ない気じゃないでしょうね?』