溺愛〜ラビリンス〜
俺が黙っていると、
『柚ちゃんも来るわよ。あんたと違ってちゃんと私の誕生日覚えてくれてるし、あぁやっぱり女の子は良いわ。どうしてあんた女の子に生まれなかったの!』
お袋のハイテンションに苛つく。
「知るか!」
と怒鳴る。
生んだのはお前だろう文句言うな。俺が文句を言われる筋合いじゃねぇ。心の中で毒づいた。
「日曜は行く様にする。もう切るぞ。」
『分かった。……あんた柚ちゃんの事ちゃんとしないと、そのうち横取りされるわよ。』
お袋に今の俺の状況を言い当てられた気がした。
「うるせぇ。」
と力なく言って電話を切った。
携帯を切ると大輝が
「一応女からの電話だったな…」
空気を読まない発言をし、俺は助手席のシートに蹴りを入れた。
「どうした?」
心配そうに龍也が聞いて来る。
「いや…今度の日曜、お袋の誕生日パーティーするんだと。来いって言われただけだ。」
「…そうか。姐さんの誕生日にパーティーするのは聞いてたが…行くのか?」
龍也が俺に確認する。