溺愛〜ラビリンス〜
「出せ!」
睨み付けて言えば女達は部屋から慌てて出て行った。
柚以外の女が近寄って来ると虫酸が走る。
店長から売り上げ等の報告を受けながら、今度の日曜は柚に会えると思うと自然と口角が上がる。 最近学校以外で会える事なかったしな…学校だってクラスが違うからあまり接点がないしな…
久しぶりに柚とゆっくり話しをしよう。自分から行動する。
そんな事を考えていたら俺が機嫌が良いと思ったのだろう店長が
「別の女の子を呼びましょうか?」
と聞いてきた。
「いや、いい。」
龍也が代わりに返事をする。
せっかく柚の事を思い出して気分が良くなったのに気分が悪くなる事を言うな。俺の眉間にまたシワが寄った。
「店長この店で長く働きたいなら覚えておけ。若に女を近づけるな。」
龍也の低い声に店長は顔を青くさせた。
「分かりました。」
店長は慌てて返事をした。
俺達は仕事を片付けると早々に店を後にした。車に乗り込み次の店へ向かう。今日も長い夜になるな…
ため息をついて窓の外の景色を眺めた。