溺愛〜ラビリンス〜
「留年する事になる前に、早く学校に復帰しないとね?さてと…お昼の準備しないとね。」
母さんは笑いながらそう言った後立ち上がった。
お茶を飲み終わった俺は、部屋で休むと二人に言って立ち上がった。
心配した柚が肩を貸してくれて支えられて階段を上がって部屋まで付き添ってくれた。
「柚…サンキュー助かった。」
「ううん、翔兄ぃゆっくり休んで?お昼できたら呼ぶからね。じゃあね。」
そう言ってドアを閉めて柚は下に下りて行った。一人になった部屋で辺りを見回す。久しぶりの自分の部屋にホッとするのと同時に、久々の感じに落ち着かない気分になった。
「ハァ…」
机に向かい椅子を引いて座る。ポッケから携帯を出して履歴から通話ボタンを押した。
コール音が鳴って、数コールで途切れた。
「はい。」
「俺だ。」
「ハァ…俺だ…って、俺は君の彼女じゃないんだから、ちゃんと名乗ってくれないと…翔真くん。」
渉が呆れたような、からかうような口調で返してくる。
「…長い付き合いで、今更だろ。気持ち悪い事言ってんな。」