溺愛〜ラビリンス〜
「クックックッ…」
俺の言葉に笑う渉に舌打ちをした。
「チッ」
「そんな怒んなよ…翔真。家に着いたのか?」
「あぁ…無事退院した。」
不機嫌さを押さえ渉と会話を進めた。
「そっか…退院おめでとう。良かったな?」
「あぁ…お前達にも迷惑かけたな?もう少し良くなったら倉庫に行く。それまではチームの事はお前に一任する。頼むな…渉?」
「あぁ…こっちの事は大丈夫だから気にすんな。翔真は自分の体の事を考えて早く元通りになってくれ。」
「…すまない。」
「気にすんな。」
「…渉…」
「どうした?」
「…悠斗に渡りをつけてくれ。」
俺は目覚めてからずっと耐えてきた、待ち望んだ悠斗との対決を口にした。渉は急に変わった重い話題に、一瞬言葉に詰まったように間を開けた。
「…翔真。体がもう少し治ってからの方が良いんじゃないか?」
「…渉…俺は待った。我慢してきた。悠斗と決着をつけさせてくれ。いつまでも宙ぶらりんなこの状況は、俺も柚も辛いんだ。このままじゃ柚が壊れてしまうんじゃないかって心配なんだ。」