溺愛〜ラビリンス〜

鷹宮 淳稀 side


僕は焦っていた。
キングからは近づくなと釘を刺され、悠斗の言葉を聞き柚ちゃんの事を思いやる心で負けた気がして、今更ながら二人に負けている事を痛感していた。

ずっと好きな女の子。彼女が欲しい。





屋上から教室に戻ると柚ちゃんは親友二人と話しをしていた。


亜莉沙ちゃんが柚ちゃんに話しかけている。


「で、去年は坂本のお母さんの誕生パーティーに何を着て行ったの?」


はっ?!思わず心の中で叫んでしまった。声に出なくてホッとする。
気を取り直して耳を傾ける。


「去年は着物だったんだ。」


「でも毎年招待されてるって凄いね…」


「小百合ちゃんとママ仲が良いから。毎年ママと一緒にお呼ばれするんだよ。小さい頃から小百合ちゃんにはとっても可愛がってもらってるし、私が行くのを喜んでくれるから欠席はできないの。」


柚ちゃんと悠斗の強い結びつきを聞かされている様な気がした。


「柚?あんたのママと坂本のママって、あんた達二人を結婚させたがってるんでしょ?」


亜莉沙ちゃんがとんでもない事を言い出した。





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