溺愛〜ラビリンス〜
キングと黒王子の対決
折原 渉 side
退院をした翔真が連絡をしてきた。かかってきた瞬間、おおよそ翔真の用件は分かっていた。翔真の気持ちも理解しているつもりだ。それでも、もう少し体が良くなってからで良いんじゃないかと思って翔真を説得してみるが、翔真の意思は固かった。まあ仕方ないだろう…と翔真の身になってみれば、これ以上待てないのも分かるから、もう何も言えなかった。
話しを終えて、通話を終えるとため息が出る。あの二人の最終対決になるのだろう。一体どんな事になるのか…二人共、柚ちゃん以外の事については感情をあまり表に出さないけど、今回は柚ちゃんの事ど真ん中だから…そして二人が真っ正面から衝突する最初で最後の闘いだ。だからどんな事になるのか想像つかない。
いつかは…二人はこうしなきゃならないのは分かっていた。覚悟はしていたけど、幼馴染みとして親友として、俺はどうしてやれば良いのだろう。
考えても埒があかない…仕方がない。
携帯を握りしめ、悠斗の履歴を出して発信する。 コール音が鳴り出すけどなかなか出ない。
諦めようかと思った時、コール音が途切れた。
「…はい。」
低い声で威圧感を感じるが、怯む事なく俺は口を開いた。