溺愛〜ラビリンス〜

「今少し話せるか?」


俺がそう切り出すと、悠斗はフッと息を吐いた。きっと俺が何の為に電話してきたか分かっているんだろう。


「…あぁ…大丈夫だ。」


「翔真が今日退院した。」


「ッツ…そうか…良かった。翔真はどんな状態なんだ?」


「ある程度、日常生活ができる状態になったから退院できたんだけど、まだ元通りと言う訳にはいかないな…まだリハビリも続けないといけないと思う。学校に行くのはまだ先なるだろうな。」


「…そうか。」


俺の言葉に悠斗が安堵のため息を吐いたのが分かった。


「悠斗…翔真が会いたがっている。話しがしたいそうだ。お前も話しがしたかったんだろう?」


「あぁ…」


「近々話し合いの場をセッティングする。」


俺は坦々と話しをした。


「…分かった。」


悠斗はそれだけ返事をするだけで、もう何も言わなかった。


「じゃあ日時が決まったら連絡する。」


「あぁ…渉…」


「あ?」


「翔真の事連絡してくれて感謝する。」





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