溺愛〜ラビリンス〜

「フッ…何だよ。らしくないな?俺に礼を言うなんて。」


俺がからかうように言うと、悠斗はチッと舌打ちをした。


「じゃあな?」


悠斗はそう言うと勝手に通話を終えた。俺の耳にはツーツーと言う電子音が聞こえてくる。

悠斗も翔真と話しがしたいと前に言っていたから、きっと了承するだろうとは思っていたが、二人を引き会わせる事にやはり緊張していた。


「まあ…なるようになるか…」


悠斗の了承を取り付け、二人を会わせる為に、明日から凌達にも話して準備をしないといけない。頭の中で明日からやらなければいけない事を思い浮かべた。

明日から忙しくなるな…俺はため息を吐いた。







翌日、学校が終わった後、直行で倉庫へ向かった。幹部室に入るといつもの定位置のソファに座る。

今日の柚ちゃんの送迎は爽が行っている。

俺より先に到着していたの凌が、向かいの席でバソコンを立ち上げて仕事をしている。


「お疲れ。」


凌と二人沈黙が続く部屋に、俺より少し遅れて健人が入って来た。


「「お疲れ。」」


俺と凌の声がハモって健人に返事をする。


健人は俺の隣に座った。




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