溺愛〜ラビリンス〜
総長である翔真はいつも俺達に指示を与えてくれていた。それが当然だったけど…今回翔真は俺達に任せるって事なんだろうけど、何も指示や要望を言わなかった。それは全て俺達に段取りは任せるという事なんだと思う。
「何も言わなかった。」
「…そっか。」
俺の言葉に健人はそう言って考え込む。
「どんな状況になるか分からないから、学校って訳にはいかないよな…」
凌が呟くように言う。
「そうだな…」
「倉庫が一番無難じゃない?」
健人が一番手っ取り早くて条件にぴったりの場所として、俺も多分凌も思いついたであろう場所を言った。
確かに人目にあまりつかない所が良い。そうなるとチームの倉庫は最高の条件に合う場所だか…何だかそれは翔真が嫌がる気がした。
「確かに条件としては良いんだけどな…」
俺がそう言うと、凌が察したように俺の言葉を継いで続ける。
「自分のテリトリーでじゃ、フェアじゃないと思って翔真は嫌がるかもな…」
「あぁ…」
俺が思っていた事を言った凌に頷くと、健人がため息混じりに
「そっか…」
と言った後、沈黙が流れた。