溺愛〜ラビリンス〜

多分、二人を会わせる場所は翔真にとっても悠斗にとっても、自分のテリトリーでない場所でないとならない。そう翔真も悠斗もそう望むだろうと思う。これは長い付き合いの俺が思うんだから多分間違いない。


「…じゃあさ…」


健人が少し考えていたようだったが、閃いたような表情をした。


「あの俺達の思い出の場所はどうだ?」


「思い出の場所って…翔真が事故った場所か?」


凌が驚いた顔で、あれ以来俺達も行っていない鬼門のようになっている場所に、少し嫌悪感を感じたような声で聞き返す。

「あぁ…だって結局あの事故の日からの事が、今回の二人の対峙の発端だろ?だったらそこで決着つけるっていうのが適当じゃない?」


健人の言葉に俺と凌は黙り込んでしまう。

確かに健人の言う事は一理ある。
あの日…翔真が事故に遭わなかったら、柚ちゃんと悠斗はどうなっていたんだろう?悠斗を翔真が阻止する事が出来たのか…それともやはり同じ結果だったのか…分からないが、でも一つだけ分かっているのは、翔真が事故って大怪我をした事で、柚ちゃんも悠斗も予想以上の罪悪感を翔真に持たざるおえなくなってしまったって事は確かだ。




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