溺愛〜ラビリンス〜

「…ハア、そうだな。確かに、あの日が翔真と柚ちゃんとそして悠斗にとって一つのターニングポイントだな。その場所で決着をつけるのも良いかもな…」


俺がそう言うと凌がハア…とため息を吐いた。


「言いたい事は分かるけど…まだ完治してない翔真を、怪我の原因になった場所に連れて行って大丈夫か?」


「まあ…確かにな…でもあの翔真がそんな事で堪えるタマか?大丈夫だろ…」


「そうだな…でもさ心配なら、まず翔真に場所を言って、そこで良いか聞いてみたら?」


俺の言葉に健人が面倒くさそうに言う。


「分かった…一応聞いてみるな。多分翔真はOKだと思う。」


二人は頷いて話しは取り合えず終了した。


「たっだいまー!」


少し重苦しい空気を破るように、爽のけたたましい声が幹部室に響き渡った。


「うるせぇよ!」


健人が蟀谷に青筋をたてて怒鳴る。


「ハァ…」


凌は額に手を当ててため息を吐く。


うるさいけど、重苦しい空気は無くなり、いつもの俺達らしい雰囲気になってホッとした。





< 668 / 671 >

この作品をシェア

pagetop