溺愛〜ラビリンス〜
「何だよ!人がユズユズの送迎を終えて戻ってくれば、いきなり怒鳴るとかヒデェだろ!何だよ、お前ら茶飲んで遊んでたくせに労いの言葉くらいかけろよ!」
爽が怒りながらドスンとソファーに腰を下ろす。
「うるさいからうるさいって言ったんだよ。もう少し静かに入って来いよ。ったく…」
健人が爽に言い返して睨み合い、いつもの言い合いが始まりそうな様相にウンザリしながら、仕方なく止める事にする。
「爽、柚ちゃんをちゃんと送ったのか?」
話題を変えようとした俺の問いかけに、言い合いを始めようとしていた爽が意識をこちらに向けた。
「うん。ユズユズが翔真とまだゆっくり話しをするみたいで時間かかりそうだし、翔真が目で邪魔すんな、あっち行けって脅すし…取り合えず一旦帰って来た。」
爽は疲れたように思い出しながら話すとため息を吐いた。きっと翔真は柚ちゃんと二人きりになりたかったんだろう。まったく…仕方のない奴だ。でもいつもの調子になってきたって事は、それだけ元気になったって事なんだろう。喜ぶべきなのかもしれない…
「…そうか。ご苦労さま。」