溺愛〜ラビリンス〜

冗談じゃない。そんな悠斗と柚ちゃんをくっつける為の様なパーティーなんて!心の中で舌打ちする。


「ち、違うよ!」


焦った様に反論する柚ちゃん。


「小さい頃、小百合ちゃんがゆうくんのお嫁さんになってねって言ってた事はあるけど、それは小百合ちゃんが女の子が欲しかったから言っただけだよ。」


柚ちゃんは必死に説明している。


「でもさぁ…柚のママも乗り気なんでしょ?」


「ハァ?」


思わず声を上げる僕の声に振り返る三人。


「あつくん…」


驚いた様な表情でこちらを見る柚ちゃん。そして更に焦った様に


「そ、それはママ達が仲が良いから昔、自分達の子供を結婚させたいねって話してたからだよ。でも今は私が好きになった人と結婚しなさいって言ってるから、そんな真剣な話しじゃないよ。」


柚ちゃんの言葉に安堵するがどこまで信じて良いのか?柚ちゃんは天然だからね…
そんな事を考えていると怪訝な顔で柚ちゃんが声をかけてきた。


「あつくんほっぺた赤くなってるけどどうしたの?」


さっきキングに殴られた所が少し腫れて赤くなっている様だ。


「何でもないよ。大丈夫だから。」


曖昧に返事をした。


柚ちゃんが屋上での事を知れば心配したり、自分の兄と僕が揉めた事に心を痛めるのは目に見えている。




< 67 / 671 >

この作品をシェア

pagetop