溺愛〜ラビリンス〜
結局柚ちゃんは病院に来たおばさんと帰る事になって、爽はその日はもう病院に行く必要がなくなった。
その日の晩、俺は翔真に電話をして俺達の考えを伝えた。
翔真は予想通り平然としていて、あっさりと事故った場所に赴く事を了承した。それ所か、さっさと悠斗に連絡しろとせっつかれた。
「…分かった。できるだけ早い日程でセッティングする。」
俺は少し呆れながら仕方ないと諦め、約束をして電話を切った。
翌日学校に行った俺は、悠斗を屋上に呼び出した。
遅刻して来た悠斗を呼び出したのは二時間目だった。授業中の屋上は、当然ながら俺達だけしか居ない。
「何の用だ?日程が決まったのか?」
悠斗は屋上に来ると開口一番そう聞いてきた。
「あぁ…翔真はできるだけ早くと希望している。で、まず場所だが…俺達チーム幹部の思い出の場所になっている場所を考えている。そこが…翔真が事故った山道なんだけどな…翔真は既に了承済みだ。人目はないし、しがらみのない場所だし条件に合うから、悠斗がそこで良ければ決めたいと思ってる。どうだ?」
「翔真が良いなら俺は構わない。」
悠斗は感情のない声で返事を返す。