溺愛〜ラビリンス〜
思わず目を反らして
「もう大丈夫。」
と言ってゆうくんから離れた。
今の私、顔真っ赤だよきっと…
「ほら」
ゆうくんの声が聞こえ、視線を戻すとゆうくんが手を差し出している。何?分からず首を傾げていると、
「またこけると大変だから手を繋げば安全だろ?」
いつものゆうくんからは考えられない、優しい笑顔に胸がキュンとした。
差し出された手を取って手を繋いで庭へと出た。
今日はお天気の良いから散歩するのには絶好の日。
きちんと手入れされた庭園を歩きながら、何を話して良いか分からない。
困っているとゆうくんが
「少し休むか?」
と言った。
ゆうくんの視線の先を見ると東屋が見えた。
「うん。」
小さく答え二人で東屋に向かう。
東屋は少し小高くなっていて庭園がよく見渡せた。
「きれいだね。」
東屋から見渡す庭園の景色に感動して言えばゆうくんも
「あぁ。」
と私を見て答える。
視線が合ったまま反らす事ができなかった。
「柚…」
ゆうくんが小さな声で私の名前を呼んだ。
「俺は………お前の事が好きだ。」