溺愛〜ラビリンス〜

正直自分でもよく分からなくて、何て答えれば良いのか分からず首を横に振った。


「柚、大事にする。だからすぐでなくていいから返事くれ。」


ゆうくんのまっすぐに私を見つめる瞳に真剣な想いを感じた。


「うん。」


それ以上何も言えなかった。ゆうくんもそれ以上何も言わなかった。





東屋から元の道を戻りパーティー会場に入ると、小百合ちゃんも加わってママ達は話しをしていた。


「あら早かったのね。もっとゆっくりしてくればいいのに…」


ママがそう言えば、すかさず小百合ちゃんがゆうくんに突っ込みを入れる。


「ヘタレ!」


ゆうくんは眉間にシワを寄せる。


「チッ」


舌打ちをして小百合ちゃんを睨んだ。


「何よ!事実でしょ!悔しかったらモノにして来い。」


小百合ちゃんは何やらゆうくんを怒っている。

それを聞いていたママが


「ねぇ小百合それ私の前で言う?」


と苦笑しながら言っている。

彩花ちゃんは


「アハハッ…まったく何やってんのよ!」


と大笑いしている。

笑い方が渉くんそっくりだ…


「ババァ、ふざけんな!俺達の事に口出ししてんじゃねぇ。」


ゆうくんはそう言うと、怒って行ってしまった。



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