溺愛〜ラビリンス〜

「まったくガサツなんだから!誰に似たのかしら?」


ブツブツと文句を言っている小百合ちゃん。


「まぁまぁ、で柚ちゃんどうだった?悠斗くんはちゃんと告白できたの?」


彩花ちゃんがいたずらっ子の様な目で質問してくる。


「えっと……それは…」


何て答えて良いか分からず口ごもっていると、小百合ちゃんが嬉しそうに?


「言ったの?ちゃんと言った?」


身を乗り出して聞いて来る。こ、怖い…答えないと食べられそう。


「う、うん。」


恥ずかしくなり俯いて答えた。


「ハァー」


私の返事に小百合ちゃんは大きなため息をついた。


「やっと言えたか…」


そして満足そうに呟いた。


「小百合ちゃん?」


私が小百合ちゃんの様子を不思議そうに問いかけると


「柚ちゃんあの子は不器用ながら、真摯に自分の気持ちを柚ちゃんにぶつけたの。長年、思い続けた気持ちをやっと言えたの。だから柚ちゃんも真っ正面から受け止めてどんな結果であっても、きちんと返事をあげてちょうだい。お願い。」


小百合ちゃんの顔は母親の表情だった。
私は小百合ちゃんの目をまっすぐ見て頷いた。





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