溺愛〜ラビリンス〜

鷹宮 淳稀 side


柚ちゃんが悠斗の家のパーティーに出席する事を聞き、何もしないでは居られずパーティー会場となるホテルを調べ様子を見に行った。


パーティー会場付近を見張っていると、悠斗と柚ちゃんが二人で会場から出て来た。


「キャッ!」


つまづきそうになった柚ちゃんが悲鳴を上げた。次の瞬間、傍にいた悠斗は腕を伸ばし柚ちゃんを支えた。


「柚、大丈夫か?」


「うん。ありがとう。」


ホッとした表情で悠斗を見上げ、見つめる柚ちゃん。二人だけの世界に割り込めない気がした。


「ほら」


悠斗が手を差し出し、柚ちゃんに


「またこけると大変だから手を繋げば安全だろ?」


と説明すると二人は手を繋いで外へ出て行った。


庭園を黙ったまま歩く二人を少し離れた場所から見ていた。



かなり歩いて東屋で腰を下ろした。


「きれいだね。」


庭園の景色に感動した柚ちゃんの声が聞こえる。


「あぁ。」


と答える悠斗は、柚ちゃんを見つめていた。


「柚…」


悠斗が柚ちゃんの名前を呼んだ。二人は見つめ合っている。かなり間が空いてから





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