溺愛〜ラビリンス〜
翔兄ぃは私の返事を聞くと
「何かあったらすぐ呼べ。」
と私の頭に手を置いて優しく言ってくれた。
周りからは
「キャー」とか「ウソー!」とか女の子の声が聞こえたけど、視線は向けない。 経験上、私は睨まれている事が多いから…
「うん。」
笑顔で答えて教室の中に入って行った。席に着きドアの方を見ると翔兄ぃはもう居なかった。
「おはよう!」
有希が元気良く挨拶してこちらへ来る。
「おはよう。今日も早いね。遥くんの送迎?」
「うん。」
嬉しそうに答える有希。
遥くんは隣県のチーム王龍の総長さん。有希の幼なじみで彼氏。
本来、ブラックホークスの縄張りに他のチームが入って来るのは争いの原因になるんだけど、私の親友の事なので有希の送迎に関しては王龍の車が縄張りに入って来る事を翔兄ぃは黙認してくれている。
そうした経緯から現在ブラックホークスと王龍は同盟を結ぼうとしている。
何にしても有希が幸せそうで私も嬉しい。有希達は幼なじみだけど、有希が引っ越した事で一時なかなか会えない時期があったから…
「おはよう。」