続·地味子の仮面を外す時

Lesson1:閉ざされた未来

《杏side》

はあ...。なんでこんなことになってしまったのかしら。あたくしは日本2の蜜堕財閥の令嬢だったのに...。

「ボサッとするな!さっさとそこ拭けよ、早く！」


ドスの効いたその声に、一気に現実に引き戻される。

顔を上げた先には、怖い顔をした桜宮茂野崎財閥·社長、桜宮茂野崎 冬織(sakuramimonozaki toori)がいた。


「すっ、すいません」

あたくしは急いで、冷たいタイルが敷き詰められている床を拭いた。

すると冬織様が、

「馬鹿!ここに汚れが残ってんだろ!お前には目がついているのか！？」

と、あたくしを蹴ってきたんざますの。

あたくし、ついに怒りましたわ！

「っ〜〜〜〜!さっきからなんなんですの！あたくし、しっかり床を拭いておりますわ！どこが悪いんですの!?貴方様こそ、目がついているんですか!?」

あたくし、いままで女王さまのように暮らしてきましたから、こんなの耐えられませんわ！

「な...んだと？」

冬織様のオデコに、青筋が通ってらっしゃる...！本気で怒っておりますわ！