もしもわたしがプリキュアの友達だったら
学校の入学式。

わたしは隣になった女の子にこっそり話しかけてみた。

『ねー、あなたは何でこの学校に入ったの?』

すると、その子が

『だってここ、高校と大学受験しなくていいって聞くし。あなたも?』

と言った。そんな理由なんだ…。ここは本当は素敵な場所なのに…!そうだ!わたし、部活は新聞部にしたいな!増子さんにも会えるかもしれないし!新聞部になってみんなにここがどんなに素敵かって事を伝えるんだ!

『えっ…。うん…。わたしも…なの。受験なんてしたくないし~。でもね!プリキュアがここにいることは知ってるよね?!』

『あー、プリキュアかぁー。確かそんなようなことあったな~。でも、だから何なの?プリキュアってわたしとは違う世界の人間だし、期待しても無駄だよね~』

『それは…違うと思う。そんなこと、絶対にない!プリキュアが大好きでいれば、プリキュアの世界に入ることだってできるよ!』

『そうなんだ。でも、あいにくわたしには大好きな人がプリキュア以外にいるんで平気なの。小学生時代にいじめられてたあなたとは違うのよ。神崎さん』

『…えっ?どうしてわたしの名前…』

『みんなに有名よ~。あなたの事。あなたの事知らない人なんてこのクラスにはいないんじゃないかしら?』

その時、わたしのクラスの人達がとても冷たい人間に見えた。そして怖くなった。

『そういや言ってたっけ?花菜ちゃんが『わたしらと縁切れると思ったら大間違いだっつーの』って』

花菜ちゃん。山田花菜。わたしの一番の強敵。まさかあいつがまだしつこくわたしを責めようとしてるなんて…。

絶望的だ。もう何もかも終わりだ…。せっかく頑張れると思ったのに。

その時だった。

校長先生が『では、これで入学式は終わりです。皆さんは速やかに下校しましょう』と言ったのだ。

わたしは思い出した。

のぞみさんとその親友さんとでナッツハウスで英語をやろうと約束してたことに。

わたしにはまだ…そうだ!プリキュアがいる!それは一番の幸せじゃないのか!わたし!まだ、まだ頑張れるじゃないか!

そして拍手に包まれて入学式は終わった。
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