ツンデレ社長の甘い求愛
我が社のボスと闘う日々
お花見シーズン真っ只中の四月上旬。

地上二十階に位置する会議室のガラス張りの窓からは、夕陽が差し込んできた。

経営幹部も出席する社内戦略会議が始まった時刻には、まだ太陽は空の高い位置にあったはず。

それだけ会議の時間がおしているのだ。


その原因はこの会議に出席している全員が分かっている。

ズラリとお偉いさんから並ぶ席順の一番頂点にいる人物以外は。


「いっ、以上で第二企画部のプレゼンを終了します」

徐々に眉間に皺を寄せる姿に、第二企画部所属の同期である仙田 光輝(せんだ こうき)のプレゼンは、緊張か恐怖心からか度々噛んでしまうという失態の中終了。


そして誰もがただひとりの人物の反応を待った。

パサリとレジメされた書類を捲る音が異様に響く中、注目の人物はいよいよ口を開いた。


「おい、これは本当に第二企画部で知恵を振り絞って出した企画書か?」

「はっ、はい!」

低く威圧的な声に、仙田くんは途端に慌て出す。

威勢よく返事をしたものの、それが彼の地雷に触れてしまったらしい。
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