ツンデレ社長の甘い求愛
つい疑問形で聞いてしまうと、社長はフッと笑った。

「正解」

「……っ!?」

なっ、なにその顔は!! “よくできました”と言わんばかりのちょっとした笑みは。


普段はしかめっ面か怒っている顔しか見せないくせに、どうして今日に限って色々な表情を見せるかな! ……おかげで激しく動揺させられてしまっているじゃないか。

メニューを持つ手も自然と強まってしまう。

それには気づかない社長が抑揚のない声で、淡々と解説していく。


「オープンして二日目。大抵の客は初来店の可能性が高い。そんな客には、ここがどんなコンセプトのカフェなのか、どんなメニューがあるのか、オススメはあるのか気になるところだろ。定期的にコンセプトを変えて営業していると知れば、リピーターになってくれる可能性も高い。それをあの店員はみすみす逃したんだ」


舌打ちする社長に、だんだんと冷静になっていき熱も冷めていく。

うん、やっぱり社長はいつもの社長だってひとつの舌打ちだけで、再認識させられるよ。

「それに見ろ。いくら客を待たせているからって、掃除が行き届いていない」

そう言って社長が持ち上げたのは、紙ナプキンが入っているケース。
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