ツンデレ社長の甘い求愛
アルバイトといえど、オープン前に研修を受けたはず。

テーブルの汚れだって、見えないところだから見落としてしまったではダメだよね。

気にする人は気にするもの。ましてや飲食店なのだから。


どんなに社長のことが嫌いでも、仕事面だけでは嫌いになれない。

こうやって一緒にいるだけで、本当に勉強させられる。

「とりあえずオススメ商品を注文する形でいいか? マニュアル通りに味付けや盛り付けがされていたいか、チェックしたい」

「大丈夫です、お任せします」

すると社長はすぐに呼び出しボタンを押した。

「お決まりでしょうか」

すぐに来た店員の手にはお盆。その上には沢山のお冷。

どうやらまとめて提供するつもりでいたようだ。

あぁ、これ完璧マイナスポイントでしょ。

恐る恐る目の前に座る社長を見れば、顔が引きつっている。


本当はガーって文句を言いたいんだろうな。それを必死に堪えているのだろう。

社長の心情が手に取るように分かる中、彼はメニュー表を見て気持ちを落ち着かせ、無駄に眩しい笑顔でオーダーし始めた。
< 110 / 347 >

この作品をシェア

pagetop