ツンデレ社長の甘い求愛
「いえ、それがその……なんか最近、やたらと視線を感じるんですよね」

「え、そうなの? 俺は全然感じないけど」

的外れな返しに、ガックリ項垂れてしまう。

「そうですか? 一緒にいてなにも感じません?」

「うん、まったく」

即答され脱力してしまった。


うん、松島主任はこういう人だ。

鈍いしどこかズレているというか、抜けているというか……。

「いつから感じているの? 会社でだけ?」

「だいたい一ヵ月前くらいからですかね。それに会社でだけではないんですよ。自宅以外では常に見られている気がして……」

再び足を進めながら溜息交じりに話すと、松島主任は「えぇっ!?」と大きな声を上げた。

「そっ、それってもしかしてストーカーとかじゃないの!?」

途端に慌て出し私の前で身振り手振り説明する彼は、実に彼らしい。

そりゃ私だって最初はその線を疑った。

世の中には物好きがいるっていうし。

でもなぁ、さっき松島主任にも話したように会社以外でも視線を感じるのだ。
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